聲にこめられている憎惡

 聲をふりしぼつた。聲にこめられている憎惡に間違いはなかつた。佐々兼武の「ほんとはルリは貴島に惚れてるんじやないですかね」というような事が、當つていようなどとは全く考えられなかつた。第三者にはまるでわからない貴島とルリとの間の關係がそこにはあるらしい。それを多少でも掴もうとして、いろいろの角度からた...

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彼女の言葉

 このようなものの言い方も世の中に在るのである。然しそんな言葉を紙の上に書き寫すことは、むずかしい。私は此處で彼女の言葉を書き寫そうとはしまい。 ただ次第にわかつて來た事は、彼女の話しているのが貴島勉の事であるという事であつた。 そんな事ではあるまいかと、ルリが入つて來た瞬間から私が危惧していた...

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いつもの事

       23[#「23」は縦中横]

 綿貫ルリが私の家を訪ねて來て案内を乞うたりしないのは、いつもの事であるが、この日は「先生今日は」も言わないで、いきなり、しめきつて話していた書齋のドアを默つてスッと開いて入つて來た。まるで今まで隣りの室にいた人のような具合だつた。私も國友も言葉を停めて見...

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